鹿児島県整形外科医会
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整形外科とは

 ひとは心臓、肺、消化器などの内臓によって命を維持します。一方、立つ、座る、歩く、走るといった筋骨格系での運動によって仕事、家事、通学などの日々の生活を営んでいて、更にスポーツ、旅行などを楽しんで人生を豊なものとしています。そこで歴史を考えますと、50年ほど前までは、生命を脅かす内臓や血管の病気、感染症、怪我、あるいは子供の病気の治療が先決でした。肩こり、腰痛とか腰曲がり、膝の痛みなどは歳のせいだから、仕事には付き物で我慢するしかない、命に別状ないので病院にかかるまでもない、などと済まされることが多かったのです。それが、豊で長寿の国となった現在の日本では、高い生活の質(QOL)が重視され、運動の面でも不自由のない生活が望まれるようになりました。それをできるだけ保障しようとする診療分野が整形外科です。(標準整形外科学テキストより抜粋)
 もう少し具体的に言いますと、腰、膝、肩、手、足などが痛い、神経痛だろうか、五十肩だろうか、リウマチだろうかと考えられるものは、すべて整形外科の対象になります。ほとんどの原因が、変性、加齢変化、使いすぎ、炎症などによる良性の病気ですが、こういう慢性の痛みの中には、まれに骨腫瘍、内臓から来る癌の転移などもあり、レントゲン、CT、MRI等で見つかることがあります。また、スポーツや転倒、交通事故によるケガ、捻挫、脱臼、骨折も当然対象です。腫れがないため捻挫と勝手に思っていてもヒビ(骨折)が見つかることもあります。整骨院で長く捻挫として
治療していても剥離骨片を伴う骨折のこともあります。更に、生まれつき足の変形、股関節の脱臼、指が多いなどの先天性疾患のほか、最近、注目されている骨粗鬆症も整形外科の対象です。
 整形外科の治療は、手術をしない保存的な治療が多いですが、場合により、手術の必要なこともあります。その手術にはさまざまな種類があります。例えば、脊髄・脊椎に対する手術、神経の手術、腱の手術、骨の手術(骨接合術など)関節の手術(人口関節置換術など)等々があり、時には切断された指や手足などの再接合術も行われることがあります。そのひとつひとつをとっても数多くの方法があり、外反母趾の手術においては、百数十とおりの手術法が報告されています。また、手術機器、材料(チタン、セラミックなど)の進歩もめざましく、50年前の治療法に比べ格段に進歩していると言えます。
 ここで、整骨院(接骨院)との違いについて述べます。まず、整形外科がはじめて登場したのが約100年前(明治39年)になり、その後も数十年は、病院が少ないこともあって外科がその役割を兼ねていた頃もありました。そして、整骨院は病院の少ない地域での簡単な脱臼、骨折の初期治療を応急処置として許可されたという歴史的背景があります。したがって、整骨院は、医師でなく柔道整復師という人達が行っている施術所のことをいいます。柔道整復師は医師ではないので、レントゲンも撮れませんし、したがって正確な診断は困難と言えます。普通の整骨院は応急処置後に整形外科にいくようにきちんと伝えています。現在は、数十年前より整形外科が増えて、どこの地域にもありますので、はじめから整形外科に行くことをお勧めします。応急処置に限局している整骨院の進歩は、昔とあまり変わりようのないのに対し、先ほど述べた整形外科の進歩はめざましく、今後さらに、遺伝子治療等が確立されていけば、骨軟骨の老化を遅らせるなど信じられないような恩恵を受けられるかもしれません。
 また、整形外科はよく形成外科や美容外科と混同されます。形成外科は体の醜形(生まれつきのものやヤケド・ケガなど)を治すのを主たる目的とする医学の一分野です。美容外科は、主として形成外科医が行う顔面の醜形を改善する診療科です。
 以上のように、整形外科の守備範囲は広く、小児から高齢者まで、様々な疾患を扱い治療法もたくさんありますので、一般の皆様にはわかりにくいところもありますが、お気軽に整形外科に相談していただきたいと思います。もし治療法等で自分に合わないと思われれば、遠慮なく申し出てください。変更もできますし、セカンドオピニオンといって別の第2の医師の意見を聞いてもらうために他医を紹介することもあります。残念ながら、まだ難病や難治、未知の疾患もあり治療に難渋しているところがありますが、できるだけ快適な日常生活を送れるように整形外科は日々努力していますので、ご理解をお願いしたいと存じます。

2005年2月

 


 

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